魚がいっぱい

先日、こちらの企画展に寄ることができました。
 
大野麥風展 「大日本魚類画集」と博物画にみる魚たち
東京ステーションギャラリー
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/now.html
 
恥ずかしながら、作家のお名前を存じ上げませんでした。
博物学的な画は、和洋ともかなり好きであります。
見ごたえのある展示でした。
 
魚を食べるのが好きな人、見るのが好きな人、釣るのが好きな人へお勧めします。
 
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魚って、とても不思議でかわいいと思ふのです…。
シュノーケリングが好きな人も、釣りが好きな人も、魚を飼っている人も、そう思っていると思ふ。
 
明和電機社長は「気持ちが悪い」と仰られてきたけれどええと…。

魚の浮き袋(鰾)について

小学生のころ理科の授業でフナの解剖をし、浮き袋をしげしげと見たことがあります。
でも、それ以来、その存在にあまり気をつけたことがありません。
 
魚を釣ると、たまにいっぱいにふくれた浮き袋を口からのぞかせているものがあり、あれを見ると「さぞ苦しかっただろうな」、と気の毒になります(でも殺して食べるけど)。
料理で魚をさばくときも・・・切り身を買うことが多く、あまりさばかないけれど・・・内臓はまとめてごそっと捨て、それぞれの器官は気にしていませんでしたし。(胃の中身はちょっと気にします。)
 
かの伝説の初期明和電機「魚殺しパフォーマンス」で。
信道さんはとても手際よく、《肺魚》用の浮き袋を取り出していらっしゃるようです。
 ・・・何匹か練習されたのかな? なんて、つい、想像。
 
で、明和電機魚器《肺魚》のことを考えるついでに、魚の浮き袋についてすこしググって付け焼刃のお勉強をしました。
参考ページ:
 Wiki: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B0%BE
 ねっと水族館: http://www.aquamuseum.net/content/himitu/h-06.html
 その他:
 http://www.hetaturi.com/archives/2012/03/post_278.html
 http://obiekt.seesaa.net/article/155823497.html
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B0%E
3%83%A9%E3%82%B9_(%E9%A3%9F%E6%9D%90)
 http://www.maruha-shinko.co.jp/uodas/syun/69-nibe.html
など
 
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魚の浮き袋。鰾とも書いて。英語ではair bladder
 
消化官から分岐した器官(進化の方向は20世紀後半に明らかに)。
 
 もともとは消化管と気道でつながった開鰾(有気管鰾) > サケ目、コイ目、ニシン目、ウナギ目など
  <− 水面から直接空気を取り込む
 
 一部の魚類は消化管から離れ閉鰾(無期間鰾) > タラ目、スズキ目など
  <− 周囲にある細胞(ガス腺)からガスを取り込む
 
コイやナマズの仲間は、ウェーバー器官【水中の音を反響させ聴覚を補助する】を備える。
この器官は、浮き袋に連絡した4つの骨で構成、振動を内耳へ伝える。
−> 聴覚に優れる。
 
ハイギョは浮き袋が肺としての機能を失くしていないため、肺呼吸を行うことができる。
ピラルクーなど一部の淡水魚も浮き袋で呼吸する。
 
原生シーラカンスの浮き袋は脂肪で満たされている。
 
脊椎動物は本来は海洋生物だったが、淡水へと進出した系統から硬骨魚類が誕生し、初期の硬骨魚類は、溶存酸素量が低下しやすい淡水生活の中で空気呼吸の必要から肺を発達させた。その後、水中生活へ特に適応した系統が肺を鰾へと変えたと考えられる。』
そう。(Wikiより)
 
サメ・エイなどの軟骨魚類は、硬骨魚類が肺を獲得する前に分岐したので肺も鰾も持たない。泳ぎをやめると沈んでしまう。
 
真骨類の一部は二次的に鰾を失った。アイナメ、ハゼ・カサゴ、カレイ目の成魚、アンコウ、コバンザメなど。
 
ニベ、カサゴ、ホウボウなど、浮き袋に強い筋肉が付いていて音を出す魚がいる。警戒音、威嚇音として。求愛行動でも。
(ホウボウの浮き袋は美味らしい。)
 
船に積む魚探知機で測っている魚の大きさは、実は魚の浮き袋のサイズを測っている。(だからサメとかは表示されない)
 
ライギョの浮き袋は尾びれの付け根付近まで伸びている。
 
ニベの浮き袋を煮詰めて作る膠は粘着力が強い。かつては弓を作るときに使われた。
「にべもない」という慣用句はニベの膠からうまれた。
中国では昔、ニベの浮き袋を男性の避妊具として使っていたそう・・・。
 
魚の鰾を原料として抽出されたゼラチンをアイシングラスという。ワインやビールなどを製造する際、清澄剤として使用される。

 
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おお、いろいろ奥が深いです、魚の浮き袋。
 
あのように透明で薄く、伸縮性があるのはどうしてでしょう。何でできているのかな。
膠やゼラチンの材料となるのですから、コラーゲンとか大きな分子のタンパク質が主なのでしょうけれど・・・。

肺魚にもどる 3

現在、シミュレーションというと、たいていはコンピュータを用いた計算によるシミュレーションです。
現在、ありとあらゆる分野でシミュレーション計算は行われています。
(シミュレーションについて詳しいわけではありませぬが、もちろん。)
 
計算機による数値的なシミュレーションではなく、物理モデルシミュレーション(実際に模型等をつかった実験)もあります。
風洞実験とか。
あ、物理モデルシミュレーションは閉じた系で行われることが多いでしょうね?
 
明和電機社長の修了論文のタイトルは「芸術における生物表現とシミュレータ」だそう。
芸術におけるシミュレータ?
それはとっても不思議なシミュレータ。
 
ちなみに、つくばの美術館で行われる筑波大学芸専院生による修了制作展に2度ほど行ったことがあります。
論文が閲覧できるよう置いてある作品も分野によっては普通にありましたが。
絵や造形の学生で、論文を展示していた方はいらしたかしら。ちょっと記憶がありません。
 
魚器《肺魚》は、神様の視点に立つためのシミュレータだそう。
(「魚器図鑑」による。)
 
もちろん、上記論文は未読ですが。
修了制作でつくられた魚器のなかで、《肺魚》が一番シミュレータの要素が強いですね。
 
 概念を物質的なモデルへ。
 
 その ガラス瓶のなかで完結する世界を手中に。
 それを操作できるのは、作家ひとりでー。
 
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肺魚にもどる 2

改めて、「魚器図鑑」「魚コードのできるまで」の肺魚に関する項を読み返しています。
 
社長の場合は、もともとの興味が「ホモルンクス」。人造人間。
ガラス瓶のなかをどう操作して成果を取り出すか、という。
科学のような。魔法のような。
 
そして、大学の生物の授業を受講。「科学者の眼」で魚を見ていて。
 
「神の視点」になって。
 
そして、その結果、瓶のなかに魚の浮き袋入れてぴくぴく。
 
 ・・・。
 
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この作品は、社長が操作しているのを見るのでなければ。
社長が操作しているのをありありと想像しなければ。
 
あ、でもそれは当たり前なのか。
 
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肺魚について、ファンになり半年たたない頃に記した当日記記事より:
http://d.hatena.ne.jp/Fumiba_m/20100514/1273784687
 
 もし見れていたら。きゃっきゃ言って喜んだかもですね・・・;  案外、自分。

肺魚にもどる 1

明和電機社長が大学院の修了論文「芸術における生物表現とシミュレーター」とともに製作し、審査を受け、修了制作展で展示・デモした魚器。
「弓魚」、「オタクギョタク」、「魚打棒」、「肺魚」と、「パチモク(背負わない壁展示方式)」、「金魚のフン」。そして幻の「トロノーム」。(でいいのかな
(「魚器図鑑」による)
 
このときのネーミングはシャレを狙ったものだけではなさそう。
 
肺魚、と言えば、実在する魚がいます。
デボン紀に出現。中生代にかけてもっとも栄えた、生きた化石とか、古代魚とか言われる魚。
エラと共に肺を持ち、肺呼吸もできる魚です。
 
院生のとき、教養程度の生物学の授業を全て受講したという社長は、当然、このハイギョになじみがあり。よく知っていたと思われます。
 
実在する魚の名を作品に付けたのに、理由はあったのでしょうか。
ちょっと不思議です。

透明な実体の向こう側への憧憬4

小瓶やクリアレジンを用いた、透明なものに封じ込める小物やアクセサリーをつくるひとたちは。
好きな世界をその小さな作品に封じ込めたい思いを込めているよう。
 
よく理解できます。
 
でも、ガラス瓶や透明樹脂に世界観を閉じ込めたいなんて。
・・・若干は不遜で残酷な思想なのかもですね? もしかしたら。
 
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ガラス瓶/ガラスに封じ込め。これまで見たことがある作品をいくつか思い出しました。
 
MIT石井教授らによる"music Bottle"。
http://ascii.jp/elem/000/000/065/65745/index-2.html
 
こちらは、なんて気持ちがまっすぐ向いた繊細で心地よい作品/概念。
 
透明なインターフェースの追求。
 
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クワクボさんの、小部屋の壁に影を照射できるほど強力なLEDライトが入ったスノーボール。
  
先日拝見したこちらでは、封入系の素敵なフラワーベースが展示されていました。
【プレイフル・シャドウズ展 by ネンド 】
https://www2.seibu.jp/wsc/020/N000055106/1527/info_d_pv
http://www.shotenkenchiku.com/blog/shuzai/entry-472.html
 
小林健二氏の、結晶をガラス(透明ケース?)に封じ込めた高度に美的な作品を、どこかで見た記憶があります。
 
作家の名前が思い出せないのですが、その他にもいくつも・・・造形作品に疎い当方でさえ記憶にあります・・・。
 
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ガラス瓶などに生きた苔などを入れた密閉性の高いテラリウムというのもあるのですね。
 
これも、その概念にひかれ、写真をネットを見て回りました。
 
(つづく<一応その予定です>)
 
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ばいざうぇい。
 
昨日、社長が
 
 明和電機活動20年の原動力となったアートとはいったいなんだろう?
 
とつぶやかれていました。
 
How で Why です、しゃちょう・・・。
当ブログ。気づいたら1000記事を越えていました。
こんなに続ける気は、当初全くありませんでしたのに。