【ボイス/うたう】

明和電機社長ツイートログ仕分け・抽出・並び替えの検討作業。第九弾。
基本的に、今年11月16日までのツイートで構成しています。
今回はボイス。「ストレンジボイス」イベントが懐かしー。
創作の原点にかかわる部分に、抽出編集作業で操作を加えてしまうのはとても心もとなく気が引けるのだけれど。
このテーマに関しては、社長がブログ等でまとめているので、多少、安心。(かな。)
 

  • ボイス/うたう

 サバオでーす!!
 ツイッターだと、地声も裏声もないな。
 
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 今日は「肉の楽器」、すなわち「声」の機械化についての理論をまとめよう。
 「歌う機械」を作っていて思うのは、その存在は人間にとって「本能的に拒絶するもの」であること。無機物から声が出る現象は異常現象。ゆえにシュルレアリスム彫刻に近いのでは、と考える。
 現在「歌う機械」には、三つの潮流がある。?ボーカロイド系(デジタルによる肉声の再現) ?ヒューマンビートボックス系(肉声によるデジタル音の再現) ?人工声帯ロボット系(メカニックによる肉声の再現) である。
 
 世界では今、三つの潮流で「声」をテーマにした新しい楽器が登場しはじめている。ひとつ目が初音ミクのような「電子式音声楽器」、二つ目がヒューマンビートボックスのような「電子風肉声楽器」、そして三つめが明和電機のセーモンズのような「機械式音声楽器
 「声」の楽器の三つの潮流に共通するのは、デジタルミュージックの風俗的かつ技術的発達を通過しなければ、けっして生まれなかった、ということ。
 さらに三つの声の楽器に共通することは、キャラクター性や呪術性など、かつて西洋楽器が発達の段階で切り捨てた要素が復活している点だ。
 ベートーベンは自動機械オーケストラの曲を書いたり、メトロノームを最初に取り入れるなど、かなりの「メカおたく」だった。1800年代に初音ミクが生まれていたら、彼女のための「アリア」を書いただろう。
 
 僕が「声の機械」にこだわる理由はふたつある。ひとつは声の機能性。複雑な肉の楽器への創作欲。もうひとつは呪術性。声は人間の感情を縛る不可解な音。
 呪術性に見世物小屋はよく似合う。
 
 声の楽器を探求すると、近代楽器が隠蔽してきた呪術性が吹き出してくるから面白い。セーモンズもミクもボイパも。

 機械写実主義、というものがあるとしたら、サーフェースでそれをやってるのが石黒先生。声でやろうとしてるのが明和電機か。美術史における新しい写実の視点。
 
 「どうして女性の声のロボットを作るのですか」と聞かれたので「男の声はすでに持ってるから」と答えた。
 
 今日お会いした人工内耳をつけた方に、セーモンズの歌ってる映像を見せたところ、歌がまったく聞こえないという。その方、大好きなミュージシャンの歌はよく聞こえるそうです。感情移入によって、人間は脳の中にメロディーを作り上げるのか?ショックでした。
 
 今日は人工内耳をつけた耳の聞こえにくい皆さんに、人工声帯の「声」について講演。伝えることの本質を実感しました。
 
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 明和電機は「人工声帯ロボット系」で、NHK紅白歌合戦に出場することが、目標である。おもしろくない?おもしろくない?
 
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 一番最初に「声」を獲得した生命が発した言葉は何か。「逃げろ」か。「いい匂い」か。それとも「好きだ」か。
 
 クイズ「神様の最初の言葉は"光あれ"ですが、地上に生まれた生命が最初に発した言葉は何でしょう?」
 
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 例えば「ドナドナ」の歌詞を、感情を込めて悲しく朗読しても、泣くほどではない。しかしメロディーを付けたとたん、簡単に涙させることができる。声が歌に離陸する境界ってなんなんだろう。
 むかし、「昭和枯れすすき」という、嫌になるぐらい悲しい歌があった。ある意味映画「タイタニック」に匹敵するくらい極限状態のバカップルの歌だったが、最近あの手の歌、ミュージシャン作らないなあ。
 むかしは男性が「オレと堕ちていこう」と言ってもロマンスになったが、今は「アナタだけ堕ちれば?私は生きるし」になったってことか。
 歌舞伎で近松の心中ものを見たとき、死への行路が強烈に宗教くさくてビックリしたことがある。「一緒に堕ちる歌」が消えたのは、あの宗教観が無くなった点もあるかも。
 
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 酸素呼吸をはじめた生命が得た大きな二つのメリットは、エネルギー代謝が良くなったことと、歌が歌えるようになったことである。
 
 むかし黒船の蒸気の汽笛を始めて聞いた日本人は、その異様な響きにビビりまくったそうである。スピルバーグ宇宙戦争の宇宙人が発する重低音とかぶる。
 
 サンプラも波形編集ソフトもない時代に、「ゴジラの鳴き声」は作れた。アナログの可能性は深い。

 RAG FAIRのライブ。お見事おもしろかった!そっか、電気がなくても音楽できるんだ!
 声ってすごいなあ。
 
 昨日の川井憲次さんのライブ。地声で歌う民謡歌手の方の姿が忘れられない。吠える人間のシルエット。インスピレーションを得た。
 地声の歌唱法は、話し言葉の延長で、西洋式の発声とまったく違うそうだ。西洋式からみるとストレスがかかったように見える歌い方は、アニメ声に通じるものがあるし、気になる。
 リード楽器は現在、人間の肉体の共鳴を最大限利用する。しかし声の機械装置を作る場合、その細やかな共鳴体を利用できない。直感だが日本民謡地歌に、その突破口がある気がする。
 
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 アイドルの声の系統発生の研究とかあるのかな?いつから今の「鼻声・舌足らず」になったのだろう。
 ゆうこりんが「明日からワタシ、鼻声になる!」って星空を見上げた夜があったんかな。
 
 そうだよなあ、「声」という音は集団の中にあるんだよなあ。
 
 声はお化粧むずかしいもんなあ。
 女性の方がハレとケの声質の変化が大きい。なぜ?
 テレビドラマで見る公家の「〜でおじゃる」言葉は、男性もかなり"よそゆき"の声。男も化粧する時代だったから?
 たしかにGacktはよそゆきの発声法。
 女性の「声を高くしゃべった方が、失礼じゃない」という発声法は、”社会的な礼儀”としてのお化粧に通じて、興味深い。
 「テンションの低い声」を「明るく華やかな声」に自動的に変換する機能をケータイにつけたら、バカ売れするんとちゃうか?女性に!
 個人的には女性が地声の低い方の声で、なにげなくしゃべったり歌ったりする方に色気を感じます。ヘレン・メリルとか。
 
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 ボイパがおもしろいのは、それまで全身運動じゃないと出せないと思ってた打楽器音を、首から上の言語運動だけで出したこと。運動的には信号伝達および重力からの解放のぶん、ボイパの方が確実にONビート。
 
 後藤真孝先生に、歌声情報処理、そしてさらに音楽情報処理の最先端のお話を聞いた。おーもーしーろーい!未来にはたくさん驚きが詰まってる。音楽の世界は、まだまだ変わっていく。

 平井堅ボーカロイドはいつ発売されるのだろう。
 平井堅ボーカロイドが発売されたら、何を歌わせたい?
 
 音楽メディアがレコードのようなアナログからデジタルになることで、不可侵だった音楽が、編集可能な要素に分解され、再構築されるようになった。このプロセスは、食べ物が消化酵素で分解され、肉体に再構築される「同化・異化」のプロセスに似ている。
 現在のDJは組織学から細胞学ぐらいの分解・再構築レベルだが、音楽情報処理技術がさらに進めば、分子生物学レベルの編集をするDJも登場するだろう。
 モノマネ芸人さんの、歌唱情報からの特徴点の抽出&デフォルを、音楽情報処理の視点から分析した研究はないのでしょうか?
 
 機械には感情がないので、新しい音楽の聞き方をどんどん人間に提案してくるだろう。ちょっと前だと「シャッフル」とか。それに対し人間側がどんな防御システムを作るかが興味深い。
 
 AFRAさんのビートボックスをこたつぐらいの距離で聞いた。なんじゃこりゃあ!おもしろーい!なぜそんないい音のハイハットが、そのヒゲの下のお口から出てくるの?
 ブッ ブッ ツッ ブッ ブブ パ チッ ツッ パ ブブ ブブブ (社長、ビートボックス練習なう)
 
 AFRAさんの口の動きを見て、機構を思いついた。
 ヒューマンビートボックス・マシン、作りたあ嗚呼い!
 
 昨日の後藤先生のお話と、今日のAFRAさんの衝撃は、なんか通じるものがある。なんだろう。もやっと。・・・・・動け!脳みそ!
 ヒューマンビートボックスを機械化するとして、名前をどうしよう。対極だから、「ヒューマン > ロボット」、「ビートボックス > くちドラム」、つまり、” ロボットくちドラム ” か・・・・・・ださ!!
 
 「カバー」とは、ミュージシャン主体で行われる。ところが野口五郎の「ニューカバー」は野口氏というプロリスナー主体で作られた。この転換はやがてデジタル技術進歩で大衆まで降りてくる。つまり、誰もが、好きな歌を、好きなミュージシャンに歌わせる装置を持つ時代がくるのだ。
そんな時代のレコード会社とはなんだろう。
 「エリは父親のライブラリーから"山口百恵"と書かれたファイルをみつけた。いい声だな・・と思ったのでアプリで声を解析し、先日ダウンロードした大好きなバンドの"silk"という曲を歌わせてみた。うん、やぱりこの声はこの曲にはまった、と思ったので、データをネットにアップした。」
 
 問題は「歌におけるキャラクターとは何か?」。そこが楽器と歌の違い。初音ミクもスーザンボイルもそれなしにはヒットしなかった。
 
 「人を感動させる音楽なんて、機械が簡単に作れるよ」・・・・賛成もできるし、反対もできる。
 Amを聞いただけで人は悲しい気分になる。そしてコンピューターもAmというコードは理解する。その単純性においては、賛成。
 
 財津和夫の声を生で聞いたとき、その引き込みのすごさに、ああ、この人はシャーマンだ、と思った。単にいい声、というだけではないなにかがある。本当の歌手には。
 
 あ、そうか。初音ミクのPがぜんぜん多いのは「なじみを変えるべからず」の花柳界ルールもあるからか。つまりミクは祇園と舞妓が一気に出現したから強いんだ。
初音ミクヒューマンビートボックスオタマトーンの確実な共通点。動画共有サイトのおかげで盛り上がった。
 
 ヒューマンビートボックスのプレイヤーが面白いのは、実は音楽プレイヤーというより、プロフェッショナルなリスナーが進化したものだ、という点だろう。おしゃPに近い!
 
 昨日のオニキスさんの、「僕が死んでも、ミクはずっと同じように歌い続ける」という話が切なかった。
 
 僕が作る歌う機械は、僕が手をかけてチューニングしないと歌わない手のかかる彼女だ。ミクと違って、僕が死んだら沈黙し続けるだろう。
 
 植木等の声の著作権はどこにあるのだろう。故人が再び歌い出す時代はレコード会社にとって、新しい金脈になるのだろうか。
 植木等ボーカロイドに! ついに故人の歌声が再生される時代に。・・・泣けて〜く〜る〜♪
 たとえばphotospeakのようなアプリの進化を見る限り、近いうちに故人の歌手が映像の中で再び新曲を歌い、踊る時代がくることは間違いない。死の受け止め方が、未来は変わっていくだろう。
 植木等ボーカロイドのように、今後、死者をデジタル技術で生き返らせるビジネスが盛んになるだろう。業界名はなんだ?「ゾンビジネス」とか?
 Rebornビジネス とか? oborn(お盆)ビジネスとか?
 
 初音ミクの場合、集合意識が虚像を実像に変えて拡大していったが、故人のボーカロイドの場合、生前のファンの集合数がマーケットの規模を決める。ビートルズのように音楽そのものがアルゴリズム化してるミュージシャンにとっては、有利な市場か。
 歌手という生きている者が持つ「心」や「魂」の魅力。それとは対極に、ボカロPのオニキスさんは「死」を内包している初音ミクの魅力をお話されていた。それぞれわかります。
 ボーカロイド関連が僕にとって興味深いのは、攻殼機動隊やマトリックス的な、心のあちら側への移動という人間性の問題ではなく、あくまでも膨大なデータが作る形象(ハリボテ)としての人間性の問題だから。それはとても芸術的な話。前者はどこまでいっても「生」の話。後者はのっけから「死」の話。
 ボーカロイドは、「人間性」という新しいパラメーターのつまみが加わった電子楽器である。キャラ立ちした音になるかどうかは、演奏者の腕次第。
にしてもVOCALOID3は、ボーカロイドの存在を、初音ミク以外で庶民に知らしめすことになるだろうなあ。
 来年の大晦日は、ボーカロイドによる「故人・紅白歌合戦」とか放送されたりして。
 来年はボーカロイドで故人歌手がレコード大賞とったりして!
 ボーカロイドによる「故人・紅白歌合戦」、とりの対決はやっぱり村田英雄と美空ひばりか・・・・・あれあれ?ものまね紅白歌合戦っぽいぞ。
 故人を写真に残す「遺影」という風習はこんなに普及してるのに、声を残す風習(遺声?)は普及していない。声というのは、生々しすぎるから?いつまでたっても影にならない?
 
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 チップ化された女の声に惹かれる。世界の終わりまで「時間」という詩を朗読し続ける女。時報
 世界中の道の名前を知っている女。ナビ。
 自分の未来に疑問を持った時、彼女なら「五キロ以上、道なりです。」とアドバイスしてくれるだろう。ナビ様。
 僕がジホッチで女の声を機械に閉じ込めた感覚と、初音ミクにはまる感覚は、遠くない。
 
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 音程はオクターブ以外、すべて不純である。
 世界は不純に満ちている。不純こそ世界だ。でもそんな世界も時折、完全性を見せるときがある。不純を縫うように現れる完全性に痺れる。オクターブ。
 
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 鳥は空中で歌うので、残響というものを知らない。
 鳥は羽ばたきながら歌うので、ロングトーンなんて出せない。
 鳥。飛びながら歌う。声が自身の運動の軌跡の中へ消えていく。どんな感じなんだろう。群れで飛びながら歌うのも。どんな感じ?
 
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 国策で、夕方5時になったらすべてのケータイ、スマートフォン、PC、ラジオ、テレビから「夕焼けこやけ」が流れるようになったら、残業も減るかもと思ったけど、それに近いのがイスラム世界の夕方の美しいコーランの歌声かも。
 
 ひさしぶりに作詞・作曲作業なう。お伴はフォークギター。口が気持いいフレーズを探しちゅう。
 
 やっぱり沢田研二はカッコイイなあ。夜道でサムライ熱唱中なう。
 
 マイウェイっていい歌だなあ。
 
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 <明和電機ボイス計画宣言> 明和電機は、歌うロボットを開発し、歌手として世界デビューさせることを宣言します。


社長とセーモンズさんの「距離感」を興味深く思いました@2011年ボイスメカニクス