魚の浮き袋(鰾)について

小学生のころ理科の授業でフナの解剖をし、浮き袋をしげしげと見たことがあります。
でも、それ以来、その存在にあまり気をつけたことがありません。
 
魚を釣ると、たまにいっぱいにふくれた浮き袋を口からのぞかせているものがあり、あれを見ると「さぞ苦しかっただろうな」、と気の毒になります(でも殺して食べるけど)。
料理で魚をさばくときも・・・切り身を買うことが多く、あまりさばかないけれど・・・内臓はまとめてごそっと捨て、それぞれの器官は気にしていませんでしたし。(胃の中身はちょっと気にします。)
 
かの伝説の初期明和電機「魚殺しパフォーマンス」で。
信道さんはとても手際よく、《肺魚》用の浮き袋を取り出していらっしゃるようです。
 ・・・何匹か練習されたのかな? なんて、つい、想像。
 
で、明和電機魚器《肺魚》のことを考えるついでに、魚の浮き袋についてすこしググって付け焼刃のお勉強をしました。
参考ページ:
 Wiki: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B0%BE
 ねっと水族館: http://www.aquamuseum.net/content/himitu/h-06.html
 その他:
 http://www.hetaturi.com/archives/2012/03/post_278.html
 http://obiekt.seesaa.net/article/155823497.html
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B0%E
3%83%A9%E3%82%B9_(%E9%A3%9F%E6%9D%90)
 http://www.maruha-shinko.co.jp/uodas/syun/69-nibe.html
など
 
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魚の浮き袋。鰾とも書いて。英語ではair bladder
 
消化官から分岐した器官(進化の方向は20世紀後半に明らかに)。
 
 もともとは消化管と気道でつながった開鰾(有気管鰾) > サケ目、コイ目、ニシン目、ウナギ目など
  <− 水面から直接空気を取り込む
 
 一部の魚類は消化管から離れ閉鰾(無期間鰾) > タラ目、スズキ目など
  <− 周囲にある細胞(ガス腺)からガスを取り込む
 
コイやナマズの仲間は、ウェーバー器官【水中の音を反響させ聴覚を補助する】を備える。
この器官は、浮き袋に連絡した4つの骨で構成、振動を内耳へ伝える。
−> 聴覚に優れる。
 
ハイギョは浮き袋が肺としての機能を失くしていないため、肺呼吸を行うことができる。
ピラルクーなど一部の淡水魚も浮き袋で呼吸する。
 
原生シーラカンスの浮き袋は脂肪で満たされている。
 
脊椎動物は本来は海洋生物だったが、淡水へと進出した系統から硬骨魚類が誕生し、初期の硬骨魚類は、溶存酸素量が低下しやすい淡水生活の中で空気呼吸の必要から肺を発達させた。その後、水中生活へ特に適応した系統が肺を鰾へと変えたと考えられる。』
そう。(Wikiより)
 
サメ・エイなどの軟骨魚類は、硬骨魚類が肺を獲得する前に分岐したので肺も鰾も持たない。泳ぎをやめると沈んでしまう。
 
真骨類の一部は二次的に鰾を失った。アイナメ、ハゼ・カサゴ、カレイ目の成魚、アンコウ、コバンザメなど。
 
ニベ、カサゴ、ホウボウなど、浮き袋に強い筋肉が付いていて音を出す魚がいる。警戒音、威嚇音として。求愛行動でも。
(ホウボウの浮き袋は美味らしい。)
 
船に積む魚探知機で測っている魚の大きさは、実は魚の浮き袋のサイズを測っている。(だからサメとかは表示されない)
 
ライギョの浮き袋は尾びれの付け根付近まで伸びている。
 
ニベの浮き袋を煮詰めて作る膠は粘着力が強い。かつては弓を作るときに使われた。
「にべもない」という慣用句はニベの膠からうまれた。
中国では昔、ニベの浮き袋を男性の避妊具として使っていたそう・・・。
 
魚の鰾を原料として抽出されたゼラチンをアイシングラスという。ワインやビールなどを製造する際、清澄剤として使用される。

 
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おお、いろいろ奥が深いです、魚の浮き袋。
 
あのように透明で薄く、伸縮性があるのはどうしてでしょう。何でできているのかな。
膠やゼラチンの材料となるのですから、コラーゲンとか大きな分子のタンパク質が主なのでしょうけれど・・・。