うさぎスマッシュ展2

東京都現代美術館で行われている「うさぎスマッシュ展 世界に触れる方法(デザイン)」から、印象に残った作品をいくつか。
http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/148/
 
デザインという点で印象に残った2作品。
 
Michael Lee 《 Dwelling 》
実際に存在する建物の見取り図を正統な方式でパネルにドローイングしただけのシリーズです。アンネ・フランクが住んでいた家、大規模な精神病棟、(絵に描いたかのような)パノプティコン収容施設・・・。
何にぐっときたか説明するのは難しいのですが。
平明極まりない「建物の見取り図」から、それらが語る物語や社会の仕組みや思想が聞き取れることに驚いたというか、感じ入ったのでした。
作家公式サイトから:
http://michaellee.sg/#42
 
Fernando Sánchez Castillo 《 Pegasus Dance 》
暴動鎮圧のためのいかつい放水車が2台、埠頭でロマンティックなダンスをくりひろげます。
盛大に吹き出す水しぶきは、時に白い翼のよう。二台がコミュニケーションしているように見えたり。仲良く寄り添ったり。
さらさら水のカーテンに美しい虹がかかるシーンも。
放水車が放水する様子って、こんななんだ…。 と、目が釘付けに。
実際に人に対して使用されることがないように。と、あきれたり、思わず祈ってしまったり。
動画ありました。
http://youtu.be/7DXTMX43fjM
 
デザインとして優れているのかはさっぱりわからなかったけれど、印象に強く残ったのはスプツニ子!さんの新作。
Sputniko! 《 The Moonwalk Machine - Selena's Step 》
動画もあるぜよ。
http://youtu.be/6P1uFNdKdQA
「理系女子」の心意気みたいなものにひどく心が動いて、自分が感動したことにびっくりしました。
 
日本人作家では、世界の紛争をゲームに仕立てた牛込陽介氏の作品も印象的でした。
 
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閑話休題
 
不思議の国のアリス」が好きで。子供の頃、一部暗記するほど読み込みました。
 
で、気になるこの企画展のタイトル:
「うさぎスマッシュ展」 
 
音声ガイドのイヤフォンが【うさ耳】でした。
「これしかないのですか」と尋ねたら・
「どうしても、ということでしたら、付いていないものもご用意できますが」
とのこと。
 
せっかくなので、うさ耳音声ガイドでいきました。
たぶん、生涯初めてで最後の、うさ耳。
 
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この企画展の英語サイトを見ると。タイトルはRabbitではなくBunnyとなっています。
 
Bunny は、かわいいウサギちゃん。
 
でも実際の物語「不思議の国のアリス」のなかで、白いRabbitはその世界のヒエラルキーの中である程度の地位がある成人男性として表象されています。
そして彼は、「愉快な」冒険へアリスを案内するわけではありません。 ただ、不思議で奇妙な、いろんなバランスがおかしな世界の住人で。
アリスが勝手に追いかけるのです。
 
 見る側、使う側に能動性をもたらすデザイン?
 
少女アリスはけっこー能動的な観察者で。
物語の最後、アリスはうさぎの棲むカードの世界を破壊し。そしてそれは夢だったのでした・・・。
 
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「うさぎスマッシュ」というタイトルは。
 
 楽しく見せるためのキュレーションの工夫です、うふふ。
 
という意味合いが濃いのかな。
 
それはそれでよくできているのがすこし癪にさわります。
 
美術館2Fのカフェに「野菜いっぱいのまぜまぜご飯」というランチメニューがあり。
うさぎな気分に総仕上げできたことを申し添えて。