さえずり言語起源1

明和電機ボイス計画。人間のように歌う歌姫ロボット。
彼女は、わたしたちが人間の言葉に聞こえる音を発するはずです。
社長は、それをどういうメカニズムで実現させようとしていらっしゃるのでしょう。
 
1)ヒトの声のように音質を変化させるハード機構。
2)それを言葉のように時系列制御して発するシステム。
 
1)が肝でせう。
ロボットなのですから2)について、基本的な仕組みをどうデザインされるのかも気になります。
 
セーモンズの、発声した音程をフィードバックして安定させるソフト部。それに、さらに音声の質を制御する機能が追加されるのでしょうか?
 
それとも、WAHHA GOGO のように、シンプルに機械的に実現させる?
 
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たまたま夫となった人が日本野鳥の会会員なので、鳥関連の本はときどき購入します。
先日、著者名買い&タイトル買いしたのがこの本。

さえずり言語起源論――新版 小鳥の歌からヒトの言葉へ (岩波科学ライブラリー)

さえずり言語起源論――新版 小鳥の歌からヒトの言葉へ (岩波科学ライブラリー)

 
主にジュウシマツのオスについて。小鳥がさえずるシステムに迫ります。
以下、気に留まる点をメモ。

  • ヒトと鳥では、音をつくる器官と仕組みが異なる。それをのぞけば両者は非常に似た仕組みで音を作っている。呼気をエネルギー源として音をつくり、音源から先がフィルターとしてはたらいて音に多様性をつける。発声することは、複数の独立した筋肉群をきわめて精密に協調させることで可能となる。
  • 鳥が正常にさえずることができるのは、聴覚記憶(お手本の歌の記憶)と自分の歌う歌とを照合させながら練習するから。複数のオスの手本から一部(分節)を切り取り、順番を変えて独自の歌を歌う。
  • 小鳥の歌には意味が欠如している(求愛・縄張り防衛の意味しか持たない)。
  • ジュウシマツは250年前に日本で作出された。元種(コシジロキンパラ)よりも非常に複雑な歌を歌い、有限状態文法構造を持っている。この複雑さは、性淘汰、つまり、より複雑な歌を歌えるオスをメスたちが選ぶ傾向から進化したらしい。
  • 小鳥の脳のさえずりを制御する発声制御系は、同時に聴覚情報処理も担当している。
  • 生まれて間もない小鳥の下手な歌は「サブソング」と呼ばれる。生後70日くらいたつと歌の要素がほとんどすべて出現するが、この段階では可塑的。「プラスティックソング」と呼ばれる。成鳥の歌は「クリスタライズソング」。つまり結晶化し固まった歌。
  • 言語の進化は、意味(シニファンとシニフィエ)と文法(恣意的な時系列規則)とが並行して進化し、これらが何らかの理由で融合して創発されたのでは。

 
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岡ノ谷先生が共著されているこの本も面白いですー。

ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係 (岩波科学ライブラリー 生きもの)

ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係 (岩波科学ライブラリー 生きもの)