篠田守男個展: Tension & Compression

篠田守男先生の今回の個展では、新作を多く含む Tension & Compression 作品を見ることができました。
明和電機社長のツイートを通じて氏の作品を知ってから、ネット等でうかがい知ったその構造の不思議さに、いつかまとめて拝見したいと念願していました。(*^^*)
 
トークイベントで社長が、「まさに見たかった」「見てほしい」と仰って。あと、「サイズ的にも見たいものでした。」と。
 
今回の作品は、金沢美大退官時に作成されたという『TC-7801 渓谷建築』という大きなものがあり。
他は、浮いている構造物あるいは作品全体を、手で抱えることができるくらいのサイズです。
多くの巨大な氏の作品が知られていますが、社長には、より"愛せる大きさ" があるのかな。ふと思いました。
 
クワクボリョウタさんは、
「先生の作品には階段や平面などの形があり。作品を見る「自分」にも形があり。
 その二つがジョイントできるのがおもしろい。」
というようなことを語られました。メディアアーティストらしいご発言だと思いました。
 
Tension & Compressionの作品を一見したとき感じるたのは。質量あるものが細い限られた数のワイヤで空中に浮かべられている不思議さへの驚き。
 点(支点)と線(ワイヤ等にかかる力のベクトル)とマス(質量)。
じっと見ていると。作品から広い空間にはりめぐらされる構造をイメージできる不思議。その感覚の壮大さ。
 
そしてその上に、小さめな作品はまとまりよくかわいらしく端正でたいそうきれいな印象が。(当方はいくつかの作品へかつて経験ないくらい所有欲がつのり、困っています。)
 
トークイベントでのお話では、作品を「エロス」で説明されることについて、氏はすこし恥ずかしい?と考えていらっしゃるとのこと。
 ハードボイルド小説の行間に流れるリリシズム。
以前、雑誌「みずゑ」の特集である建築家が書かれた表現がお気に入りとのことでした。
 
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当初、企画の段階では、部屋全体を使ってワイヤをはりめぐらす Tension & Compression 作品を考えていらっしゃったそうです。
危険なので却下になったそうですが。「それはいつか、したい。」とイベント時に仰っていました。
 
あと、個展会場につめていると、新しい作品をつくりたくなってイライラしてしまう、とも。
 
 気が早いかもしれませんが、シノモリ先生の次の企画展、楽しみです!
 
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今回の個展。
ライティングが素晴らしいのです。
白いボックスに、程よい密度で並べられた作品たち。
会場は比較的明るくて、アルミや真鍮の面をかくすことなく明確に示して。
明るすぎることもなく、作品の周りがふわっとしろく照らされている。
壁に落ちる影。ワイヤの線も解るくっきりとしたシルエット。
作品の金属面の反射が、壁上、作品の上方に不思議な模様を描き出しています。
特にアルミの面は光をよく反射して、ブラシでスケッチしたかのように光の斑を散らばらせ、きれいでした。
 
 展示は日曜日まで。(注:11日(火)、12日(水)まで延長されることになりました!)